はじめに
今回は今更ながら読んで 『Team Geek Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか』 という本を紹介しつつ、
転職前後で自身の置かれた立場の変化から思ったことや感じたことを連々と書いていきたいと思います。
書籍『Team Geek Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか』の紹介
2013年に初版発行されたオライリー書籍で、 Subversion
などのフリーソフトウェア開発に携わり、Googleでも働いていた Brian Fitzpatrickさんが執筆した書籍です。
内容を簡潔に言うと、
『最高のエンジニアチームを構築し、円滑なチーム開発を実行するにはどうしたら良いのか』
についての実践的な考え方やコツを学べる本です。
その中でも特に重要な三本柱が、
Humidity (謙虚)
Respect (尊敬)
Trust (信頼)
であり、これらをまとめて HRT と読んでいます。
本書は、全編を通して HRT を元に実行すべき所作について語られています。
しかも、著者の実体験を元に具体的なストーリーを挟みつつ描かれているため、
読者の立場に置き換えて対処方法などをイメージしやすいと思います。
また、著者はリーダポジションを経験しているため、リーダ目線で語られてはいますが、
実践内容はメンバーであっても行動に移せるため、リーダに限らずメンバーにとっても一見の価値がある書籍になっています。
個人的にはまさに HRT に共感したため、オススメしたい一冊だと心から感じています。
転職前後で変わった立場から見るHRTを元にしたチーム構築について考えてみる
さて、私は2月より新しい会社で働き始めているのですが、
ちょうどこの書籍を読んだことで、改めて自身の立場が変わり、意識すべき視点も変わったのだと気づきました。
良い機会ですので、前職で自身が考えていたことを振り返りつつ、現職でどのように立ち振る舞うべきかなどについて考えをまとめました。
前職で新規参画者をチームに受け入れる側だった自分
前職では約3年間働きました。
そして、その3年間をほぼ1つのプロダクトに費やしたことで、
気がつけば私はエンハンスチーム内で最も古株のメンバーとなっていました。
しかも人の入れ替わりが激しい現場だったため、
新規参画者の受け入れを幾度となく担当してきました。
その際に私自身が気をつけていた視点は下記の通りです。
- 新規参画者の立ち上げには時間がかかるため、焦らない
● 開発を独り立ちしてこなせるようになるのに最低でも1〜2ヶ月
● チームに慣れて不安なく働けるようになるのに最低でも半年程度 - 初めから必要以上に情報を与えない(過度なプレッシャーを与えない)
● 直近の仕事に影響があるかないかを軸に、重要な情報から伝えていく
● 新規参画者では情報の重要度を判断できない - 新規参画者のつっかえポイントは貴重な気づき
● チームに長くいると暗黙の了解が増え、不自然に気づきにくくなる
当時は自然と上記の対応に経験とともに収束されていったのですが、
今考えてみると HRT に関係していると言えることに気づきました。
つまり、1と2は
新規参画者が現場に慣れて近い将来活躍してくれるだろうことを信じる = Trust
であり、3は
自身がUPDATEすべき情報を得て改善できる = Humidity
ということです。
現職で新規参画者としてチームに受け入れられる側となった自分
そして、今、私は転職したことで、「チームに『受け入れられる側』」になっています。
これまでと逆の立場になったことで HRT の原則に則るとどのような動き方ができるのか考えてみました。
- まずはその現場に慣れる
● 人を知り、ルールを知ることから始める - 続いてチームの一員であることを自覚する
● 新規・既存に関わらずチームの課題は自分ごととして捉えるべき
1については、
自分の経験値を正とするのではない = Humidity
これまでこのプロダクトを担当してきたメンバーに敬意を払う = Respect
という意味で、「過去、自分は◯◯は▲▲していたから…」と批判するべきではないということです。
そして、歴史を知り、現状を知った上で、初めて建設的な議論や提案になると思っています。
つまり、2のように自分ごととして捉えた上での行動が可能になるということです。
この順番さえ間違えなければ、一緒にチームを次のステップに進められると互いに信じていけるのではないかと思います。
逆に、経緯を知ろうともせずに、あるべき事実だけを突きつけ批判するような形を取れば、
HRT の全てに背いているため、チームから煙たがれることとなるでしょう。
まとめ
さて、今回は『Team Geek』の書籍について簡単に紹介し、
前職と現職での考え方と HRT との関係性について見てきました。
振り返ってみると、無意識的に HRT を意識した言動が取れていたこともあったのですが、
改めて言語化された形で体系的に学べる書籍があると非常に助かりますね。
エンジニア一人ひとりが働きやすい世の中にしていくためにも、
これからも更に本書籍が広まることを願ってやみません。
ということで本日はここまで。